プロフィール
劉仁傑(リュウジンチェ;Liu, Ren-Jye)氏は、1957年台湾に生まれ、1985年度日本交流協会奨学生として神戸大学大学院経営学研究科に留学、1991年経営学博士を取得している。米国ペンシルベニア大学ワートンスクール客員研究員を経て、現在台湾東海大学経営工学∙情報学部教授、大阪市立大学大学院創造都市研究科客員教授、中国華東理工大学商学部客員教授を務めている。専門はトヨタ生産方式、経営戦略および日台企業間提携。著書や論文多数。現場指導や講演、研究で台湾、日本、中国を行き来している。講演やリサーチ依頼は下記のメールにて。
特別講演「台湾におけるパナソニックと地場サプライヤーの協力関係:
レッツノードとタフブックの底力を探る」の要旨
レッツノードとタフブックは発売後20周年を迎え、パナソニックは連続15年間強固型PCの世界トップの座を占め続けている。強固型というニッチ戦略、B2Bを中心とするソリューション指向、日本と台湾にしか製造拠点を持たない価値作り戦略、という非常識とも言える特徴が見られる。この報告は、これまでほとんど注目されなかった、パナソニックのノートパソコン事業を支えてきた、台湾拠点、及びカバー、LCDタッチパネル、絶縁テープ、プリント基板、プラスチック部品などを提供する台湾サプライヤーを取り上げ、相互間のインタラクションと協力関係に焦点を当て、企業間の協力ネットワークと日台連携による共創についてまとめたいと考える。
特別講演「台湾におけるモノづくり革新と日台連携」の要旨
中国などの新興国との激しい競争に臨み、台湾におけるモノづくり革新が頭角を現し始めている。こうしたフロンティアと思われる、高級自転車、強固型ノードパソコン、工作機械などの事例から、台湾型モノづくり革新を分析し、その中身、発展方向に基づき、日台連携と関連を探り、日本企業へのインパクトを明らかにしたいと考える。
1.台湾から創っている世界一:高級自転車と強固型ノードパソコン
2.知能型産業へ向けての挑戦:工作機械企業
3.協力ネットワークによる共創
4.日台連携による共創
5.日本企業へのインパクト
特別講演「日台ビジネスアライアンスのフロンティア」の要旨
1990年代以降、日本企業と台湾企業が中国を舞台にアライアンスを組むことが多くなった。近年では台湾のユニークな優位性に基づき、必ずしも中国での活動を前提にしないアライアンスも現れている。たとえば、中国における販売ネットワークや生産工場に加え、効率的に量産を行う台湾企業のノウハウ、台湾における発達したサプライヤーのネットワークが日本企業から注目されている。アライアンスの成功条件については、日台企業間の信頼関係が非常に重要であると指摘できる。日台ビジネスアライアンスの歴史は長く、中国で提携事業をおこなっている日台企業の多くは、それ以前に台湾において長期交流の経験を持っている。しかし、近年では事前に何ら協力関係を持っていなかった日台企業が提携していくケースも目立ってきている。つまり、日台企業には比較的容易に信頼関係を構築できるという特徴があるといえよう。日本企業が台湾企業と組み、中国で製造を拡大するといった1990年代の構図から、さらに進んで日本企業と台湾企業の連携による技術力・経営力強化になるとわれわれは主張している。エレクトロニクスや工作機械のビジネス事例を踏まえ、日台ビジネスアライアンスの現状と今後について論じる。
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