グローバルなアウトソーシングにおけるインドと台湾の比較 ― TCSとホンハイの事例研究

工業経営研究学会『グローバリゼーション研究』Voi.4 No.1 2008年9月刊行

劉仁傑

 .はじめに

情報技術や物流システムの発達にともなって、「多国籍企業」という名前から「グローバル企業」や「国際企業」に移り変わってきたように、企業の競争もまさにボーダレス·ワールドの時代となっている。各国の比較優位を生かして、グローバルな市場における規模、範囲やスピードの経済を追求するアウトソーシングは、こうしたグローバル化の流れの象徴である。

国を跨るアウトソーシングにはEMSとITESがある。EMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の委託生産)はOEM(Original Equipment Manufacturing:他社ブランド製品の製造)の一種として発展したもので、製造業、たとえば自動車や家電メーカーが外部委託として行っていたOEMと構造的には大差はない。これに対して、ITES(Information Technology enabled Services:情報技術対応サービス)とはIT分野におけるBPO(Business Process Out-sourcing)である。ITES企業は従来から行われていたEMSメーカーとは異なり、ソフト面でのアウトソーシングを行うものだと理解できる。

グローバルなアウトソーシングにおけるインドと台湾の比較

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