工業経営研究学会『グローバリゼーション研究』Voi.9 No.1 2013年9月刊行
劉仁傑
要旨
トルコはヨーロッパ、アジアと中東の結節点に位置し、重要な経済拠点は西側のイスタンブールとその周辺に集中している。トルコは台湾の工作機械の輸出先として、中国とアメリカに並ぶトップ3の存在であり、台湾にとっては遠くて近い国でもある。本稿は台湾の工作機械企業の生産革新と製品市場を紹介すると共に、トルコでの現地視察の成果を生して製造現場に着目する。リーン生産方式がどの程度まで推進されているか、そして、何故、トルコは台湾の工作機械を選ぶのか、どのように使われているかに関して実状を把握する。これによって解明した情報に基づいて、トルコ企業では次の二点がその競争力を支えていることが明らかになった。第一に、大企業はグローバルに採られる生産革新戦略と立地によって生まれたハブ型製品戦略という両面の戦略を採っていること。第二に、中小企業は質の良いあらゆるレベルの機械を使い分け、使いこなす能力を持っていることである。