【2015年2月】工作機械產業の事例

日台ビジネスアライアンスのフロンティア    交流 2015.2 No.887

台湾・東海大学教授 劉仁傑

I、はじめに

1960 年代以降、日台の企業間では生産資源の相 互補完関係を目指して、電機・IT 産業、自動車、 食品産業などの様々な製造業の分野で単独投資、 共同事業、生産・販売・開発などの提携や協働が 行われてきた。そのような産業とは異なり、工作 機械産業では提携や日本企業の台湾進出はそれほ ど多くなかった。しかし、最近は台湾と日本の工 作機械企業間の共同事業や日本企業の台湾進出が 増えるようになり、新しい提携の動きが見られる ようになった。 それに加え、台湾のユニークな優位性に基づき、 必ずしも中国での活動を前提にしないアライアン スも現れている。例えば、中国における販売ネッ トワークや生産工場に加え、効率的に量産を行う 台湾企業のノウハウ、台湾における発達したサプ ライヤーのネットワーク、生産革新に関するモノ づくりの基本的な価値観や姿勢が日本の企業から 注目されている。 その一方、2012 年春頃から、中国における労働 事情の異変が著しく起こり、オフショアリングか らリショアリングへと、生産の海外移転から投資 国の元へ回帰する動きが目立つ。米国の製造業が その動きをリードしているが、日本においてもそ の傾向が見られる。 米企業の国内回帰が増えつつあり、アップルに おける新「Mac Pro」の生産をテキサス州内の企 業へ切り替えたこと、ゼネラル・エレクトリック (GE)は、一時は閉鎖寸前といわれたケンタッキー 州ルイビルの工場に中国やメキシコなどに移管し ていた電気給湯器や洗濯機の生産を戻したこと、 ニューテックス・ライティングが発光ダイオード (LED)照明を中国から米国内に移設したことが その代表例と言える(木村、2014)。日本企業の国 内回帰にはダイキン工業やキャノンが知られてお り、円安はその追い風になりそうである。 こうした製造基地を新興国へ一方的に移してい く傾向から変わりつつある最近の背景を踏まえ、 本稿は日台の工作機械企業間の提携の新動向とそ の特徴を紹介し、日台企業間の協働の一形態とし て価値創造型企業へ変身する意味について論ずる ものである。そのためにまず海外投資、製造回帰 と価値創造の動きを眺め、工作機械産業の日台提 携の発展を整理する。そこでフロンティアと見ら れる二つの代表的な事例を通して最近の日台提携 の動きの特徴を分析する。最後に日台企業間の提 携が含む意味を価値創造の視点から検討し、若干 の実践的インプリケーションを導くことにする。

工作機械産業の事例

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