工業経営研究学会『グローバリゼーション研究』Voi.6 No.1 2010年9月刊行
劉仁傑
Ⅰ はじめに
2008年の後半より米国発の経済失速を受け、経済情勢は世界恐慌の再来さえ取り沙汰されている。こうしたきわめて不確実性の高い環境のなか、グローバリゼーションやモノづくり経営をより本質的に見直すべき時期にきているのかもしれない。
過去20年間を振返ると、アジア地域の経済発展は順調に伸び、政治の側面でも相対的に安定し、各国間の経済交流が活発に行われてきた。こうした活気に満ちているアジアの中で、工業化のレベルが異なる日本、台湾、中国とベトナムにおけるモノづくり経営は、今、まさに雁行理論や国際的水平分業という従来の枠組みから脱して、新しい枠組みに変わろうとしており、今後どのように展開していくのか興味深いところである。