2019工業経営研究学会国際大会の総括
大会実行委員長 劉仁傑(台湾·東海大学)
2019工業経営研究学会国際大会は「ことづくり」時代の工業経営:日台共創の視点よりをテーマに、去る8月29日(木)・30日(金)の二日間、台湾台中市の東海大学において開催されました。
一日目は、自転車・工作機械・光学と半導体の各産業より選出された3組各2社の工場見学が行われました。世界一の自転車部品メーカーである日系のSR SUNTOURと欧米系のSRAM、日本メーカーの競争者や共創者になりつつあるWELEとHIWIN、世界トップの半導体メーカーと光学部品メーカーであるSPILとASIA OPTICALなど、6社の見学を通じて台湾製造業の「今」に触れました。総勢100名を超える参加者の皆様からは、「親切で丁寧な説明」「非常に中身が濃い見学コース」「徹底した現場管理」「クリーンルーム(無塵室)に初めて入れた」等の感激の声が相次ぎ、今大会の目玉企画に対して大きな達成感を感じる事が出来ました。
二日目は、フォーマルな開会式の後、特別記念講演・自由論題・統一論題が行われました。特別記念講演はASIA OPTICALのCEO頼以仁氏をお招きし、『日台協働の新動向:「ことづくり」による新たなイノベーションの共創』についての講演と質疑が行われ、続く自由論題では5会場・10セッション・30報告と多数の報告が行われました。統一論題では那須野公人会員(作新学院大学)・魏聡哲会員(中華経済研究院)・西村成弘会員(関西大学)の3名より論題報告と議論が行なわれ、最後に会員総会、特別記念講演Ⅱ(現地参加者向けの中国語講演)とキャンパスガイド(非会員向け)をもって大会終了となりました。
また大会終了後の懇親会では、日台併せて総勢195名の方にご参加いただき、台湾的な円(縁)テーブル20卓を囲みました。各テーブルでは日台参加者が半数ずつご着席され、其々のテーブルで民間交流を深めていただきました。日本からご参加の皆様からは、「ホスピタリティにあふれ、また料理もとても美味しく、非常に素晴らしい宴でした」とのお言葉を多数いただきました。懇親会の締めくくりでは、東アジア諸国で共感してきた戦後の貧しい時代に思いを馳せ、永久の世界平和を祈りながら、来年の北海道北海学園大学での再会を約束し、参加者全員で<北国の春>を合唱し、盛況のうちに閉会となりました。
本大会の参加者は、日本より118名(内会員52名)、台湾より126名(内会員7名)、合計244名でした。また台湾からの参加者には学者・院生に加え産業界からも7割の参加があり大会のテーマである「コトづくり」への関心と、日台共創への強い期待が表れていると言っても過言ではありません。また、活発な報告・議論と討論や企業見学・懇親会での交流を通じて、ご参加の皆様には改めて「日本と台湾との変わらぬ深い関係性」をご認識いただけた事と思います。私自身も、米中貿易摩擦が激化している好ましくない経済情勢において、コトづくり時代の日台共創は一層に重要な役割を担ってくることを改めて認識致しました。こうしたインパクトを受けて、今後は、産業界における「実務」と、学界における「研究と教育」がさらに進化し、飛躍する事を強く期待したいと思います。
本大会が成功裡に終わることができたのは、多くの参加者のご支援があったからだと言えます。特に廣瀬会長や学会事務局、また協賛校の大阪市立大学をはじめゼミ生を率いて参加くださった学術界仲間、協賛校の台中科技大学など地元台湾の6大学で形成した大会実行委員会仲間など、多くの皆様に支えられ、無事成功を収めることが出来ました。皆様方のご協力に対し厚く御礼申し上げます。